青年は思議していた。
何かと騒動を起こしている、レペゼンフォックス(元レペゼン地球)についてである。彼らが起こした騒動としては、以下である。
2016年1月にYouTubeを開始したが、アップロードされた数々の過激な動画(排泄物や吐瀉物、陰部を露出する、放送禁止用語を連呼する等の行為が映っているもの等)を原因に一度チャンネルを停止および閉鎖される。その後「更生」と称し、再度チャンネルを作り直して活動を再開。
2019年7月27日、偽パワハラ事件で炎上し、9月に予定されていたドーム公演を中止
2020年12月26日にメンバーの故郷である、福岡県の福岡PayPayドームで開催される解散ライブをもって、レペゼン地球は解散した。それに伴い、公式Youtubeチャンネルの動画もすべて削除された。しかし、2021年1月1日にチャンネル名をCandy Foxxに変更して活動を再開し、解散詐欺だと酷評されていた。
2021年5月5日、YouTubeに投稿した動画「Namaste!! CURRY POLICE」がインド文化を歪曲しているということで批判を受け、在インド日本国大使館に苦情が寄せられた。該当する動画を削除すると共に、謝罪の動画を投稿した。
2021年6月1日、レペゼン地球が解散した真相を、DJ社長が動画で発表。レペゼン地球の経理を担当していたHと呼ばれる男性と、自社株を巡って一悶着あった後に代表職を解任され、現在裁判中。
何かと世間を騒がせる彼らは、いったいどのような魂の属性を持っているのか。
レペゼンフォックスとして新生した彼らの前途は、どうなるのだろうか。
一人で考えても埒が明かないと思い、青年は陰陽師の元を訪れるのだった。
『先生、こんばんは。本日はレペゼンフォックスのメンバーの属性と、彼らの今後について教えていただきたいと思い、お邪魔しました』
「レペゼンフォックスとな。以前、ネットでレペゼン地球というグループ名をちらっと見かけた記憶があるが、それとは関係あるのかの?」
陰陽師に問われた青年は、レペゼンフォックスにまつわる騒動について説明した。
『彼らは何度か騒動を起こしていますが、特に、長年ビジネスパートナーとして活動してきたはずのDJ社長とH氏が、なぜ裁判で争うような事態になってしまったのかということと、レペゼンフォックスの今後が氣になりました』
「なるほど。そなたが聞きたいことはわかった。まずは、DJ社長とH氏の関係について教えてもらえるかの」
陰陽師の言葉を聞いた青年は、小さく頷いてから、口を開く。
『DJ社長は21歳に起業し、人を集めるイベントを開催していました。初めは赤字続きでしたがやがて黒字になり、彼は九州最大のイベント団体のトップになりました。しかしながら、その後に詐欺にあって多額の借金を負ってしまい、さらに借金を返済しようと命運をかけたイベントも失敗し、最終的に6000万円もの借金を抱えてしまいました』
「なるほど。それで、その時にDJ社長に手を差し伸べたのが、H氏だったと」
『そうです。DJ社長は借金を返済するために有名人になろうと思い立ったものの、彼は多額の借金を抱えていたため、H氏が出資して資本金100万円の会社を、彼の代わりに設立したようです。100万円にした理由は、DJ社長が借金を完済した後に自社株を買い戻しやすいようにと、H氏が決めたようです』
「なるほど。で、その時、両者は契約書などの書面を交わしていたのかの?」
『いえ、あくまで口頭での約束だったようで、しかも当時のやりとりを録音していないようですので、物的証拠はないと思われます』
青年の言葉を聞いた陰陽師が、湯呑みの茶を一口飲んだ後、口を開く。
「そうなると、法廷で争う場合、ちとDJ社長側は厳しいじゃろうな。して、株に関してはどうなったのじゃ?」
『DJ社長が借金を完済し、いざ株を買い戻そうとした時に、H氏は自社株を彼に売る代わりに条件をつけたのですが、その内容の一部を抜粋すると、レペゼン地球が歌った楽曲の権利を全て渡すこと、レペゼン地球のカラオケの印税も永劫的に渡すこと、です。これらを渡してしまったら、レペゼン地球が生み出してきたコンテンツ、いわば彼らにとっては子供を手放すようなことになります』
「その条件であれば、DJ社長は到底承諾できるものではなかろう。して、その提案に対し、彼はどう応えたのかの」
『DJ社長はその提案を断ると同時に、これまでの経理関係の情報を開示するよう、H氏に求めました。実は、DJ社長は、自分が作曲、動画作成、ライブ活動に集中するために、経理や契約書関係といった裏方の仕事を全てH氏に任せていたようで、幕張メッセでの大イベントの後にH氏に経営状態を質問したところ、何かと理由をつけて経理関係の情報を一切開示しなかったそうです』
「レペゼン地球側の主張はわかった。それらに対し、H氏はどのように主張しておるのかの」
陰陽師の言葉を聞いた青年は、再びスマートフォンを操作し、口を開く。
『H氏は、DJ社長が売れるまでの費用を負担したり、ライブハウスを回る際に車を運転したり、会場でグッズの販売も手伝ったことを述べています。また、費用や売り上げ以外においても、2019年にレペゼン地球の炎上騒動で西武ドームが中止になった際に、スポンサーなど各方面に頭を下げたりもしたそうです』
「なるほど。H氏は縁の下の力持ちとして、彼らの活動を支えていたと主張しているわけじゃな。して、経理面については何と言っておるのじゃ」
『経理面で“使途不明金”があるとDJ社長から詰められたことに対し、彼が連れてきた弁護士や公認会計士の前で帳面も見せてちゃんと説明していると主張しています。また、レペゼン地球のメンバーには30万円の給料しか渡さず、H氏が高額な役員報酬を得ていたというDJ社長の主張に対しては、メンバーの給与が30万円だったのはDJ社長と一緒に話し合って決めたようで、役員でもあったDJ社長には、H氏と同額の報酬を渡していたとのことです』
「実相がわからぬ以上、なんとも言えぬが、話を聞く限りでは、DJ社長以外のレペゼン地球のメンバーを社員とし、役員と社員という間柄で考えれば問題があるようには思えぬが」
『そうですね。他にも、DJ社長には会社名義のカードを渡し、メンバーの家賃や光熱費などを、給料とは別に事務所が支払っていたと。また、メンバーが行なっていた“LINEライブ”の投げ銭などの収入については、H氏は彼らを応援するため、事務所を通すことなく、直接メンバーに渡していたと主張しています』
「なるほど。双方にそれなりの言い分があるようじゃが、そうしたいざこざの末、H氏は株主の特権を用いてDJ社長の代表職を解任したと」
『ネットで見る限り、どうやらそのようです。それで、“レペゼン地球”の商標権がDJ社長の手元になくなってしまうため、2020年の年末に解散ライブを開催し、その後いろいろあって現在はレペゼンフォックスと改名して活動しています。もちろん、レペゼン地球としてYoutubeに公開していた動画は、現在も非公開になっています』
「この件の経緯についてはわかったが、そなたはこの件に関し、どう考える?」
陰陽師にそう問われた青年は、しばらく黙考した後、やがて口を開く。
『各々が長年協力して会社を大きくしてきただけに、今回の件は非常に残念な結果だと思います。ただ、僕としては、自社株の買い戻しに関するやりとりをした際に、DJ社長が録音や書面による物的証拠を残さなかったことが、この件における分水嶺だったと思います』
「おおむね、そなたの言う通りじゃな」
そう言い、陰陽師は紙に二人の鑑定結果を書き記していく。
両者の属性表を見比べた後、青年は口を開く。
『ざっと見る限り、両者の魂の属性は共通点が多いように感じます。特に、共に数奇な人生をたどりやすい、転生回数の十の位の数字が“3”である230回台で、さらに人運が“7”と低いことから、そもそも人間関係におけるトラブルが起きやすい傾向もあると思われ、今回の件も、今世の宿題に含まれていると考えています』
一度区切り、陰陽師が耳を傾けている様子を察し、青年は言葉を続ける。
『さらに、血脈先祖の霊障に“2:仕事”と“14:人的トラブル”の相がかかっているため、それらが今世の宿題に対して順接、つまり無用な重しとなって顕在化したことが、今回の件が起きた要因の一つと考えられます』
2:仕事の相
本当にやりたいことができない。組むべき人を見誤る。資金調達計画が頓挫する。共同事業が中断する。急に気力/やる気がなくなる。信じられない裏切り者が現れるなど。
14:人的トラブルの相
思わぬところでトラブルにあったり、通常ではあり得ない揉め事に巻き込まれるか、つい一言余計な言動を取ってしまいトラブルの原因を作ってしまう。
「血脈先祖の霊障の話が出たので補足すると、以前、霊脈先祖の霊障が、今世の宿題に対して逆接、つまり本来の方向性から逆方向に働く形で顕在化することを説明したと思うが、二人とも“魂7:唯物論者”で霊脈先祖の霊障がかかっていないことも肝要じゃ」
『ということは、両者の人生の方向性は、霊障によって逆方向に向かわされたわけではなく、本来の人生の方向性を歩んでいたと考えられますので、やはり、今回の件は両者の今世の宿題に含まれていたと言えそうです。それにしても』
そう言い、青年は腕を組んでから再び口を開く。
『DJ社長は“レペゼン地球”の商標権を失い、H氏はこれまで通りにDJ社長と共に経営に携わっていれば、彼らの楽曲の売上から得られたであろう収益を失ったことは、お互いにとって大きな痛み分けとなったと思われます。このことが“2:仕事”の相の影響で起きたとするなら、魂磨きの修行の一貫とはいえ、血脈先祖の霊障は実に大きな“重し”だと、改めて認識させられます』
「仮に“2:仕事”の相の影響によって今回の件が起きたとするなら、血脈先祖の霊障がかかっていなければ、もっと両者の損失を少なく済ませて和解できていたかもしれぬな。ちなみに、そなたはDJ社長の人生についてどう思う?」
陰陽師にそう問われた青年は、しばらく黙考した後、やがて口を開く。
『詐欺にあったり、イベントに失敗して多額の借金を負ってしまったことから、彼の人生は多くの人から“不幸”だと思われても仕方ないと思います。ですが、借金が正攻法では返済できないような金額になったことで、彼はDJの道に進むことができましたし、H氏のおかげでレペゼン地球はあそこまで大きく、有名になれたと考えることもできます』
「出逢いは必然であることから、現在の二人は裁判で対立しているものの、H氏と株を巡る騒動を経て、DJ社長は契約時において書面を交わすことの重要性や、事務関係に関し、大きく学んだことじゃろうし、お互いの人生において欠かせない縁だったとワシは思う」
陰陽師の言葉を聞いた青年は、大きくうなずいた後、口を開く。
『仰る通りだと思います。H氏と離縁して新生したレペゼンフォックスですが、彼らの今後はどうなることが予想できるのでしょうか?』
「その質問に答えるには、メンバー全員をみる必要がある。少し待ちなさい」
陰陽師はそう言い、青年が固唾を飲んで見守る中、紙に鑑定結果を書き連ねていく。
5人の属性表を眺めた青年は、怪訝な表情で口を開く。
『5人とも、オリンピック以上のプロのスポーツ・芸能・芸術の世界で活躍できる、“2−3−5−5…2”を持つようですね。ただ、転生回数が230回台の男性アーティストの属性表を見るのは初めてです』
「以前(※第23話:この世のルールと芸能界参照)、特例として、“2(3)―3―5―5…2”を持つ人物が“オネエ”や“ポルノ/AV女優”として、この世界に入ってくる場合もありえると話したと思うが、覚えておるかな?」
『はい、覚えています』
陰陽師の言葉に対し、大きく頷く青年を見やり、陰陽師は言葉を続ける。
「“2(3)―3―5―5…2”を持つ女優の中には、松坂慶子のように、一流の女優として功成り名遂げたものの、50代になってからヌードを披露する人物も中にはおるが、ワシがみるかぎり、レペゼンフォックスの音楽や映像の水準は、一流とみなすにはちと厳しいようじゃな」
『なるほど。男子学生がやるような、“おふざけ”や“やらかし”といった奇抜な行動を取り、炎上や悪口を焚きつけ、話題性を集めて売れるやり方が、“2(3)―3―5―5…2”を持つアーティストの売れ方の一つなのかもしれませんね』
「ふむ。例えば?」
陰陽師に問われた青年は、スマートフォンを操作し、口を開く。
『知名度がなかった下積み時代、DJ社長は客の印象に残すために“フリートークをしながら合間にちびまる子ちゃんやアンパンマンの楽曲を流す”という異色のスタイルで活動していたようです』
「ワシが知るクラブDJは、その場の人々を踊らせる目的で海外のEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を絶え間なく流し続けるものだと認識しておったが」
怪訝な表情でそう言う陰陽師に対し、青年は両手を上げて答える。
『僕はクラブDJに詳しくありませんが、彼のパフォーマンスはクラブの関係者などからは快く思われなかったようで、Twitterに悪口を書かれ続けていました。ただ、そうした悪口が、彼らを認知させるという効果を生んだようです』
「なるほど。DJや音楽の技術のみで知名度が上がったわけではないのじゃな」
『おそらく。また、この頃からTwitterで動画をアップロードするようになり、“テキーラ一気飲み”をしたり、YouTubeでは数々の過激な動画(排泄物や吐瀉物、陰部を露出する、放送禁止用語を連呼する等の行為が映っているもの等)を挙げ、一度チャンネルを停止および閉鎖されています』
青年の言葉を聞いた陰陽師は、湯呑みの茶を一口飲んだ後、口を開く。
「他に2(3)−3−5−5…2の男性をみたわけではないから断言はできぬが、この魂の属性の男性は、そなたが言ったような、奇抜な行動で認知度を高めて売れるという傾向もあるのかもしれんな」
『他の2(3)−3−5−5…2の男性アーティストがどのような経歴を持つのかが氣になります』
そう言い、青年は椅子に深く座わり直して姿勢を正し、言葉を続ける。
『彼らが今後も“排除命令”に抵触することはないと知って安心しましたが、彼らと何らかのご縁を得られたら彼らに神事を受けていただきですし、その結果、霊的な重しを取り除いた素の状態になった彼らがどこまで活躍できるのかが、とても気になるところです。ただ、彼ら全員の魂の属性を鑑みるに、今後も人騒がせな出来事を起こすと思われますが』
「それが彼らの今世の宿題に含まれるとすれば、いたしかたあるまい」
『そうは言っても、世界を視野に入れるのであれば、日本人の代表となることもじゅうぶんに理解し、在インド日本国大使館に苦情がくるようなことが、今後はないように気をつけていただきたいところです』
「そなたの言う通りじゃな」
陰陽師がそう言った後、二人は笑い合う。
しばらく笑い合った後、青年は真顔で黙考し、やがて口を開く。
『話が変わりますが、今回の件はH氏がDJ社長との口約束を守らなかったことが発端になっていると僕は思っていまして、以前、“この世”の公的書類が“あの世”に与える影響についてお聞きしましたが(※第35話:神への接し方参照)、“DJ社長が借金を完済したら100万円で株を売り渡す”という口約束を破ったことは、H氏に何らかの損失をもたらす可能性があるのでしょうか?』
「だいぶ前に縁があったワシのクライアントの話になるが、神事を受けた後に割賦で代金を支払うと約束をしたものの、最初の一回を支払った後に何かと理由をつけて支払わなくなった人物がおった」
『確認ですが、その人は本当にお金がなかった、というわけではないのですよね?』
「詳しくは言えぬが、病院の安くない治療費を支払ったり、他のことにお金を使っていることは雑談の中で把握しておったから、神事の代金を支払う余力は間違いなくあったと思われる」
『ちなみに、その人物はどうなったのでしょうか?』
「その人物が所有していた事務所が火事にあったのじゃが、その損失額が神事の残債とほぼ同額じゃった」
陰陽師の言葉を聞いた青年は、目を見開き、上ずった声で言葉を発する。
『まさに“不可思議”な出来事ではありますが、そのような結果になったのは、ご神事の代金に関する約束だからであって、H氏がDJ社長との約束を破ったからと言って、同じような損失が生じるとは限りませんよね?』
「もちろん、約束を交わした当事者たちの今世の宿題や霊障といった様々な要因が関係してくることから、全ての約束に当てはまるとは限らぬが、何らかの損失が生じることが予想される」
『なるほど。H氏の視点で考えれば、口頭とは言え、彼はDJ社長との約束を破ったことで、裁判沙汰になっているわけですから、それらの因果関係もあるのではないかと』
「そう考えることもできるじゃろうが、ここで重要なのは、H氏が約束を破ったことが霊障の影響によるのか、そもそも彼の宿題に含まれているのか、彼の性格が引き寄せたのか、さらに言えば、性格が引き寄せたとしたら、それも含めて宿題なのかと、一概には言い切れぬことじゃ」
『なるほど。“塞翁が馬”ではありませんが、H氏は今回の件での学びを通じて新たなビジネスのヒントを得られるかもしれませんし、あるいは、そもそもそのヒントを得るために約束を破るように天の采配があった可能性も考えられますので、まさに“不可思議”な領域の話になるわけですね』
「そういうことじゃ。ただ、一つだけ言えることは、この世が“修行の場”である以上、当人にとって起こるべきことが起こることは確かじゃし、一見不幸に思える出来事や境遇も、“魂磨きの修行”の一貫であると考えることができるはずじゃ」
陰陽師の言葉を聞いた青年は、腕を組んで椅子に深く座り直した後、口を開く。
『つい、いろいろと考えてしまいますが、我々人間が、思議の範疇でああだこうだ考えたところで、わかるはずがありませんよね』
そう言い、苦笑する青年に対し、陰陽師はほほえみながら口を開く。
「そういうことじゃ。時には過去や未来のことに思いを馳せたくなることもあるじゃろうが、我々にとって重要なのは、今世の宿題をしっかり果たせるように、目の前のことに真摯に取り組むと同時に、できるかぎり多くの経験を積むことじゃ。そうすれば、我々は“この世”に未練を残して地縛霊化することなく、無事に“あの世”に戻れるはずじゃ」
そう言い、陰陽師は壁時計に視線を向ける。
それに気づいた青年も、スマートフォンで時間を確認する。
『もうこんな時間でしたか。今日も遅くまでありがとうございます』
そう言い、青年は席を立って深々と頭を下げた。
「今日もご苦労じゃったな。気をつけて帰るのじゃぞ」
陰陽師はいつもの笑みで手を振り、青年を見送った。
帰路の途中、青年は自分の人生を振り返っていた。
先祖霊の奉納救霊祀りを受ける前、“2:仕事”の相が塞がれていた頃は散々な日々だった。DJ社長ほどではないが、詐欺にあってそれなりの借金を抱え、仕事もうまくいっていなかった。
当時の自分は自身のことを不幸だと嘆いていたが、そうした不幸と思える体験、大難をじゅうぶんに味わったからこそ、霊障の影響とその大きさを理解でき、大難を小難にする先祖霊の奉納救霊祀りを申し込めたのだと思う。
これからも、最善を尽くしているにもかかわらず、霊的な余計な重しの影響によって必要以上に悩んでいる人々に神事を案内していこう。
そう、青年は決意を新たにするのだった。