月: 2021年2月

  • 新千夜一夜物語 第41話:n番部屋事件と韓国人の魂

    新千夜一夜物語 第41話:n番部屋事件と韓国人の魂

    青年は思議していた。

    韓国史上最悪の大規模ネット性犯罪事件である、“n番部屋事件”についてである。
    この事件は、2018年後半から2020年3月までTelegram、Discordなどのメッセンジャーアプリ内で行われていた、大規模なデジタル性犯罪・性搾取事件である。

    この事件が発生した経緯として、加害者たちはモデルの仕事と称して高額アルバイトで女性をスカウトしておきながら、その実、女性に加害者が卑猥な画像を送らせては徐々にエスカレートした画像を要請していき、途中で断った女性に対しては、これまでの画像と彼女たりの個人情報を公開すると脅していた。
    それらの撮影物は8つのチャットルームで掲載されており、中には自傷行為、レイプ、グロテスクな物もあったようだ。

    この事件の被害者の数は70名で、その内16名が未成年で女子中学生が多かった模様。
    今回逮捕された20代の男性には懲役45年の刑が言い渡されるのみならず、警察は、26万人にも及ぶn番部屋の利用者に対しても、彼らを特定すべく動いているようだ。

    韓国は性犯罪が多い国として世界第4位に位置しているが、何らかの理由があるのだろうか?
    あるいは、魂の属性からみて、性犯罪者にはなんらかの傾向があるのだろうか?

    一人で考えても埒が開かないと思い、青年は陰陽師の元を訪れるのだった。

    『先生、こんばんは。今日は韓国の性犯罪事件について教えていただきたいと思い、お邪魔いたしました』

    「韓国の性犯罪事件についてとな。して、何を聞きたいのかな?」

    青年は陰陽師に“n番部屋事件”の概要と疑問に感じたことを、順を追って、陰陽師に話した。

    『いつも先生がおっしゃっているように、杓子定規に事件と魂の属性を結びつけようとは思っていませんが、性犯罪や韓国人と魂の属性について、何らかの因果関係があるのではないかと思いました』

    「そなたが聞きたいことはわかった。その質問に対する回答のベースに、韓国における魂の属性の人口分布について理解しておく必要がある」

    陰陽師の言葉を聞いた青年は、しばらく黙考し、やがて口を開く。

    『以前、韓国人は頭1と2の比率が1:9で、日本人の3:7に比べて頭2の人口比率が圧倒的に多いとお聞きしましたが、他に、魂の観点で韓国人の特徴はあるのでしょうか?』

    「強いて挙げるとすれば、“魂3:武士・武将”は2−3(転生回数期が第二期の魂3)と4−3(転生回数期が第4期の魂3)が多く、“魂4:一般庶民”は3−4(転生回数期が第三期の魂4)が多い」

    『なるほど。我が国における魂の属性の人口分布とは異なるようですね』

    「そうじゃ。ちょうど転生回数期の話が出たところで、魂の種類と転生回数期の特徴について、そなたが理解していることを、確認も兼ねて説明してもらおうかの」

    『承知しました。まず、永遠の世からの要請によってあの世で新たな魂が生まれます。この魂たちには各々の職責があり、大きく4つの種類に分けることができますが、生まれたばかりの魂は、永遠の世での即戦力とはならないため、まず、魂磨きの修行のためにこの世にやってきます。そして、この世とあの世の往来、つまり、転生を400回繰り返すことで魂磨きの修行を終えた魂は、永遠の命を得、永遠の世でそれぞれの職責を果たすことになります』

    そう言った後、青年は紙に魂の種類と転生回数について書き始めた。

    <魂の種類>
    1:僧侶/王侯(スーパーコンピューター)
    2:貴族(軍人/福祉)(汎用コンピューター)
    3:武士・武将(パーソナルコンピューター)
    4:一般庶民(ガラ携並のOS)

    <各期と輪廻転生回数>
    第一期/老年期……301~400回(61~80歳)
    第二期/円熟期……201~300回(41~60歳)
    第三期/青年期……101~200回(21~40歳)
    第四期/幼年期……1~100回(0~20歳)
    ※人生を80年と仮定した場合。

    『次に、転生回数期の説明になりますが、今回は韓国人に多い、第三期と第四期について説明いたします。この世に転生してきたばかりの第四期の魂は、人生経験が少なく、魂が未熟であることから、喜怒哀楽の論理構成がきわめて単純で、いわゆる哲学的/形而上学的な思考回路が未熟である傾向が強いです。そのため、どうしても、物事の判断が極めて即物/短絡的という傾向が強くなるとお聞きしました』

    黙って青年の説明を聞いて頷く陰陽師の様子を確認し、青年は説明を続ける。

    『次は第三期ですが、第三期に入ると人間が成長していくのと同様、社会的な上昇志向が強くなる傾向があります。その反面、精神面ではまだまだ幼いところが垣間見え、特に、前半の50回あたりまでは、形而上学的な思考回路と情緒的な未熟さが目立つとお聞きしました』

    「魂1〜4の人口分布については、どのように理解しておるかな?」

    『世界的には魂1:5%、魂2:15%、魂3:25%、魂4:60%という人口分布となりますが、この人口分布は国々によって微妙に異なり、我が国の魂の種類の人口分布は、魂1:7%、魂3:33%、魂4:45%となります』

    「韓国の場合は、概ね、魂1:3%、魂2:12%、魂3:23%、魂4:62%という人口分布となる。また、韓国における魂4は、62%中、1-4が約14%、2-4が約5%、3-4が約25%、4-4が約18%という比率となる、もちろん、日本などと同じように、転生回数によって四つの期に分けることができ、それぞれに特徴がある」

    そう言った後、陰陽師は人工分布図の表を紙に書き足していく。

    人工分布図SS

    『なるほど。魂4の中では、3−4が最も多いのですね』

    青年の言葉に対し、陰陽師は一つ頷いてから、再び口を開く。

    「韓国における魂の種類の人工分布図がわかったところで、今度は具体的に加害者たちの鑑定結果をみていくとしよう」

    陰陽師の問いに青年は一つ頷き、n番部屋の創始者、運営、引き継いだ人物、そして模倣犯に該当する人物の名前を挙げていく。
    名前を聞いた陰陽師は、紙に鑑定結果を書き記していく。

    1:n番部屋の創始者。24歳。男子大学生。

    ムン・ヒョンウクSS

    青年が属性表に目を通した頃合いを見て、陰陽師は口を開く。

    「サイトの創始者の魂の属性は3−4(転生回数期が第三期の魂4)じゃが、3−4といえども、魂の容量がガラ携並みという事実は変わらぬわけじゃから、扇動されやすい“大衆”という性質は基本的に変わらない。反面、4−4(転生回数期が第四期の魂4)とは違い、“個”が現れ始めている時期の魂4と考えるとわかりやすい」

    参加意識が高く、大局的見地に欠けていることが魂4の特徴だとお聞きしましたが(※第39話参照)、彼による被害者は50人を超え、3件ほど性的暴行を指示したと自供しています。魂の属性から鑑みるに、彼はn番部屋を作って注目を集めることで自尊心を満たしたかったのではないかと推測します』

    「属性表を見る限り、その可能性は高いのかもしれんな」

    『性的暴力の被害に遭っている様子を、被害者の個人情報付きで公開したら、その女性の将来にどのような影響を及ぼすかを配慮できないあたりが、仁が30点(D)というところに表れているのでしょうね』

    「端的に言うと、日本以上にネット環境が整備されている韓国ならではの事情と魂4の持つ諸々の特徴の合わせ技によって、今回の事件が起きてしまったようじゃな」

    『なるほど。この事件は、引継ぎ者や模倣者が現れている点が、3−4が多いことに関係しているのではないかと思いました。仮に我が国で類似する事件が起きていたとすると、ほぼ2−4と4−4だけなわけですから、サイトの創始者や運営する人物は2−4、閲覧するだけの人物は4−4という構造になっていたのではないかと』

    「我が国で類似した事件が起きたわけではないから、そのあたりについては断定的なことは言えぬが、構造上は、そのように捉えることもできるかもしれんの」

    『やや強引な説を展開して失礼しました』

    ばつが悪そうに青年は言った後、次の人物について言及した。

    2:16歳。男子高校生。n番部屋の運営陣だったが、別の共有室を設置した。

    太平洋SS

    3:30代男性。創始者からn番部屋を引き継いだ。警察に拘束された後、捜査に協力して減刑された。

    シンSS

    『この二人はn番部屋の元運営陣と引き継いだ人物ですが、共に3―2(転生回数期が第三期の魂2)ですね。第三期の魂2は、魂3・4などと違い、社会的な上昇志向よりも魂2が持つ優しさ、奥ゆかしさ、慈愛といった側面が最大限に発揮されるという特徴を持つ、とお聞きしましたので、意外です』

    「3−2の特徴は、基本的にそなたの言う通りじゃが、頭の1/2や枝番などの数字の組み合わせの結果、このような犯罪を犯すようになったのじゃろう」

    陰陽師の説明に対し、青年は無言で頷いて見せる。

    「さらに言うと、数奇な運命を歩む傾向にある、十の位が30回代の場合、魂2が本来持つ“観音”ではなく、“不動明王”の側面が出やすい傾向にある

    『つまり、先ほど僕が説明した特徴は、あくまでも、おおまかな傾向であって、個々人の属性によっては該当しないケースもあるわけですね』

    「まあ、そういうことじゃ。何事にも例外規定があることを、よく覚えておくことじゃ」

    『承知いたしました』

    そう言い、再び属性表を眺めた後に、青年は言葉を続ける。

    『n番部屋を引き継いだ人物の方は、“児青法違反”で懲役刑の執行猶予を言い渡された前歴があったため、今回の1審では、当初、重い罪質を言い渡されましたが、逮捕された後は、警察の捜査がはかどるように、情報提供を積極的に行なっていたようです。ひょっとして、仁(他者への優しさ・思いやり)が70点(BB)と比較的高いことから、逮捕されたことを機に、慈悲の心を取り戻したと考えることはできるのでしょうか」

    「そなたの考えも一理あると思うが、頭が2、つまり自己中心的な考えを持つ属性であることを考慮すると、自分の立場を“損得”で判断し、減刑のために自供した可能性の方が高いじゃろうな』

    『言われてみれば、彼は再犯ですし、頭が2であることを考えると、保身に走る可能性はじゅうぶんに考えられますね』

    そう言い、青年は腕を組んでから苦々しくつぶやく。

    『我が身可愛さにかつての仲間を裏切るような行動をする点は、形而上学的な思考回路と情緒的な未熟さが目立つという、転生回数期が第三期の人物らしい立ち回りと言えそうです』

    「とは言え、大局的見地からみれば、彼のおかげで他の加害者の逮捕が早まり、被害の拡大を抑制できたと考えることができたわけじゃが」

    『そうですね。他の加害者の逮捕が早まることで新たな被害者が減り、既に被害に遭ってしまった女性たちの不安が解消される日が、1日でも早く訪れることを願います」

    青年はそう言った後、次の人物の紹介を進める。

    4:2019年にn番部屋が消えた後、“博士部屋”を作った人物。仮想通貨決済でのみチャットルームに入ることができる専門的なモデルであった。懲役45年。会員費は、日本円で約25000〜15万円相当。

    チョ・ジュビンSS

    『この男性が今回ニュースで取り上げられていた加害者となりますが、“博士部屋”という名称で、仮想通貨決済を行なった人物だけが参加できる、独自のモデルを作ったようです』

    「なるほど。第四期とはいえ、商根たくましい“魂3:武士”らしい性格を持った人物のようじゃな」

    陰陽師の言葉に対し、青年は苦虫を嚙みつぶしたような表情で口を開く。

    『他の人物と異なる点は、欄外の枝番だけでなく、下段の数字も“7”や“9”が多いことだと思います』

    「いずれにしても、そのあたりが、今回の事件を引き起こす基本的な性格となっているのは間違いないじゃろう」

    5:10代。n番部屋を模倣して新たなチャットルームを運営した。女子中学生三人が被害に遭った。

    ぺSS

    『この人物も、4−3で欄外の枝番が“9”が多く、仁も低いことから、先ほどの被告と魂の属性が近いですね』

    「この人物の属性表で特筆すべき点は、多くの人物の精神疾患の項目に“13.邪神1(なんとなく相手の心がわかる)or暴力、諸事に支障をきたす”と“14.邪神2(第七感=近い未来がわかる。しかし邪神をふくめ霊障である以上、どうでもいいことはわかったとしても、人生の大事な分岐点では常に嘘の情報をあたえられ、結果人生を転落していく)or口撃、人的な問題で諸事が前に進まず”があるのに対し、“13”の相しかないことと、“10:攻撃性”じゃろうな」

    属性表に再び目を通した青年は、驚きの声を挙げてから、言葉を発する。

    『多くの人物が、他者の念や雑霊/魑魅魍魎を拾った際に“13”と“14”の症状に分散して顕在化するのに対し、“13”のみの人物は、“13”の相に集中して顕在化する傾向にあるため、特に暴力的な振る舞いを取りやすいというお話でしたね。それに、僕がこれまでに鑑定を依頼した人物の中では、たしか“10”の相を持っていた人物はほとんどいなかったと記憶しています』

    青年の言葉に対し、陰陽師は一つ頷いてから、口を開く。

    「他にも、この二人が陰陽五行に“火”を持っていることも、今回のような事件を引き起こした要因じゃろうな」

    『今まで鑑定していただいた日本人の属性表を見る限りでは、土、木、金、水のいずれかの組み合わせを持った人間は多かったものの、火の人物はほとんどいなかったと思います』

    「ワシが今までに鑑定した限りの印象では、陰陽五行に“火”を持っている人物は日本にはそう多くないものの、韓国には相当数存在していると思われる」

    『え、そうなのですか』

    「うむ。そのあたりが日本人と韓国人の基本的気質の相違点ともなっているようじゃが、いずれにしても、火を持った人物はかなり気性が荒いゆえ、関わる際はそのあたりをよく理解しておくことじゃ」

    『承知いたしました。それでこの二人が、運営するだけでなく、自ら女性に被害を加えていたことに納得がいきました』

    再び全員の属性表を見た青年は、しばらく黙考し、やがて口を開く。

    全員の共通点として、全員が頭2、欄外の枝番の数字が“7”か“9”で“性悪説”的な気質を持っていること、そして恋愛運の数字が“7”以下だということは予想通りでしたが、魂の種類が2〜4と分散していることは驚きです』

    「他にも、数奇な運命を歩む傾向にある、転生回数の十の位が30回代であることと、学業が80点(A)以上であること、そして“霊障”か“天命運”に17の相がかかっていることも全員に共通した特徴のようじゃな」

    陰陽師の補足を聞いた青年は、属性表を再び眺めた後、口を開く。

    『それと、先生がおっしゃった通り、今回挙げた加害者たちの転生回数期は第三期と第四期に固まっていますが、これには何か特別な理由があるのでしょうか』

    「もちろん、先程話した韓国のネット環境と、日本と較べ15%以上多い魂の4が今回の一件の遠因となってはいるのじゃろうが、魂1や3じゃからといってこのような犯罪を起こさないという話では決してない」

    『たしかに。日本のやくざや、欧米のマフィアの大半が魂3であったりするわけですからね』

    「まあ、そう言うことじゃ」

    青年の言葉に対し、陰陽師は一つ頷いてから、言葉を続ける。

    「以上、韓国における性犯罪が多い理由について、魂の属性の人口分布の観点から解説したわけじゃが、どうかな?」

    『おかげさまで、よく理解できました。ちなみに、日本人と韓国人とで魂1〜4の人口分布が異なることは理解できましたが、こうした魂の違いは、どのように決まるのでしょうか?』

    「一言で言うと、“国境”じゃな」

    『え、国境ですか?』

    陰陽師の答えを聞いた青年は、驚きの表情を見せながら、再び口を開く。

    『国境は、遥か昔から、各国が戦争や外交の後に決めてきた、“この世”の世界の話だと思っていましたが、魂の人口分布にまで、国境が影響をあたえるのでしょうか?』

    「国境とは、その時々の国々の勢力分布なわけじゃが、結婚届や登記簿謄本が霊障と不思議な相関関係を持っているのと同様、その時々の国境は、転生してくる魂にとっては大きな意味を持っておる

    『とおっしゃいますと?』

    「人間が任意に引いたその時々の国境をめがけて、魂が転生してくるという意味じゃ。事実、日本軍が敗戦した後に朝鮮半島が日本の占領下から解放された日の前後で、産まれた赤ん坊の魂の属性が変わってくるわけじゃ」

    『つまり、産まれた土地がどの国の領土になるかで、新生児の魂の属性が決まるということでしょうか?』

    そう言い、思わず前のめりになる青年を片手で制しながら、陰陽師は答える。

    「数千年前のことまでまだ具体的に検証していないものの、たとえば日本を例にとっても、黒船来航を受け鎖国化を解いた明治時代、日本の領土が一番広がった第一次世界大戦から、第二次世界大戦終了時まで、そして戦後と変化する各々の領土に生まれた人間は、(現在の国籍はともかくとして)霊的には日本人と考えて差しつかえあるまい」

    『なるほど。文化人類学は文化、つまり人類が後天的に学習した行動パターンや言語といったものを中心に据えて、人類を研究しているようですが、先生の場合は、日本人と韓国人の違いを、魂1〜4や転生回数期や魂の属性の人口分布といった、文化人類学とは別の切り口で説明しているわけですね』

    青年の問いに対し、陰陽師は一つ頷いてから、口を開く。

    「さよう。文化人類学のような学問を全面的に否定するつもりはないのじゃが、文化人類学では、民族・社会間の文化や社会構造の比較研究によって文明の差異というものを解明しようとしているものの、魂1〜4や転生回数期や魂の属性の人口分布といった理論を持たずに、人間を“等質”という前提で研究している限り、それらの理論にどうしても矛盾が生じてしまうことは致し方あるまい」

    『なるほど。そのあたりのことは、よく理解できました』

    そう言い、青年は小さく頭を下げた後、言葉を続ける。

    『ということは、怒りの激情を起因とした韓国人特有の精神疾患である“火病”についても、魂の属性の観点から解説できるのでしょうか?』

    「もちろんじゃとも。“火病”については、韓国人が辛い物を好んで食べているから、という説があるが、辛い料理を食べている他の国々で“火病”が起きているかと言うと、決してそうではない」

    『つまり、韓国人の“火病”はキムチなどの辛い物を好む食習慣が原因なのではなく、頭に2を持つ人間が多いこと、転生回数期が第三期と第四期の人物が多い、すなわち感情的になりやすい人物が多いこと、そして、陰陽五行に“火”を持つ人間が多いから、と考えることができるわけですね」

    青年の答えに対し、陰陽師は満足そうに微笑み、質問を続ける。

    「いつも話して居るように人間は“多面体”なわけじゃから、それだけの情報で断定はできぬが、当たらずと言えども遠からずという意味では、その通りじゃろうな」

    『なるほど』

    感嘆の声を漏らす青年を見て、陰陽師は小さく笑ってから、口を開く。

    「最後に、そなたの冒頭の疑問、すなわち韓国で性犯罪が多い理由として、韓国人の魂の属性がその一因となっていることは間違いないが、そうは言っても、韓国人だから性犯罪を犯す、などと安直に結びつけてはならぬぞ。統計学的にそのような一面を韓国人が持っているとしても、一人一人は別の人間だということだけは、しっかりと心に留めておくようにの」

    『承知いたしました。“罪を憎んで人を憎まず”ではありませんが、今回の事件に関しても、この世の基準で善悪を判断するのではなく、加害者と被害者の双方が今世の宿題を果たすための出来事だったと考えるべきなのですね』

    「現世的には、痛ましいとしか言いようのない事件であるが、今世の宿題という観点からみると、そのように言えるようじゃな。そして、国によって魂の人口分布図が異なる問題についてもう一度話をしておくと、この世とあの世は、たとえば、婚姻届、登記簿謄本という紙一枚と霊障が不思議な対応関係を見せているのと同様、我々人類がその時々引き直す国境線を目指して転生してくるという理屈は、自分の宿題や魂の修行に最適な母親を選んで転生してくるのとまったく同じメカニズムなんじゃ。だから、その国で産まれたからできる魂磨きの修行があるということで、韓国人として生まれてくる魂は、自らの意志で韓国を選んで転生してきているということも覚えておくようにの」

    『つまり、今の日韓関係の悪化も、どうしてと考えるよりも、各々が自らの宿題に邁進する限り、当然起こりえる事象というわけですね』

    「じゃからと言って、仲が悪くてもよいということにはならないのだが、それでも、日本の植民地時代に起因する様々な問題が、解決したかと思うとまたぶり返される問題や、右派を母体とする大統領であっても左派を母体とする大統領であっても、5年の政権期間末期にレイムダックを始めると、各々の政治的信条の別を問わず、決まって日本バッシングに走ることで支持率を回復させようするあたりなぞは、やはり、今まで説明してきたような韓国人だけが持つ属性のなせる業と言うしかないのじゃろうな」

    そう言い、陰陽師は壁時計に視線を向ける。
    それに気づいた青年も、スマートフォンで時間を確認する。

    『もうこんな時間でしたか。今日も遅くまでありがとうございます』

    そう言い、青年は席を立って深々と頭を下げた。

    「本日も長時間ご苦労じゃった。気をつけて帰るのじゃぞ」

    陰陽師はいつもの笑みで手を振り、青年を見送った。

    帰路の途中、青年は陰陽師とのやりとりを振り返っていた。
    今回の事件に限らず、日頃目に付く韓国関連のニュースを読む限り、韓国人に対する印象は悪い。だが、自分がメディアを通して得ている情報は、韓国の一部に過ぎず、韓国が持つまったく別の良さ/素晴らしさもあるはずだ。
    ご縁がある人物やあらゆる情報に対し、色眼鏡を介さないように心がけ、今回の事件だけを見て“韓国人は”と一括りに評価を下さないように気をつけよう。
    そう、青年は決意するのだった。

  • 新千夜一夜物語 第40話:コロナ禍で生死を分かつもの

    新千夜一夜物語 第40話:コロナ禍で生死を分かつもの

    青年は思議していた。

    とある一般人男性が新型コロナウイルス(以下、コロナ)に感染した後、一度は集中治療室に入るほどに重症化したものの、容態が安定するまでに回復した件についてである。
    コロナによる死亡者数の情報が毎日更新される中、重症化した状態から回復した人物の情報は、人々にとっての希望になるだろう。
    ひょっとして、コロナで亡くなる人物と助かる人物とでは、霊障や魂の属性において、何らかの違いがあるのだろうか?

    一人で考えても埒が開かないと思い、青年は陰陽師の元を訪れるのだった。

    『先生、こんばんは。今日はコロナの感染者について教えていただきたいと思い、お邪魔いたしました』

    「コロナの感染者についてとな。して、どういったことを聞きたいのかな?」

    『コロナに感染して亡くなった人物と、感染して重症化した後に回復した人物とでは、魂の属性や霊障からみれば、何らかの違いがあるのかが、気になりまして』

    「なるほど。ちなみに、そなたは、どのような要因があると考えておるのかな?」

    陰陽師に問われた青年は、しばらく黙考し、やがて答える。

    霊障に“4:病気”の相がかかっているか否かと、健康運の数値が主な要因ではないかと思います』

    青年の答えに、陰陽師は一つ頷いてから、口を開く。

    「ではそのあたりの話をするにあたり、そなたが要因として挙げた、霊障と総合運について、理解していることを説明してもらえるかの?」

    『承知いたしました』

    陰陽師の言葉に一つ頷いた後で、青年が口を開く。

    『霊障には大きく分けて四つあり、一つ目が霊脈と血脈の先祖霊の霊障、二つ目が対面やSNSを通じて他者から受けたり、心霊スポットなどから拾う地縛霊の霊障、三つ目がグッズの霊障、そして四つ目が魑魅魍魎、雑霊や人の念による霊障となります』

    青年の回答に小さくうなずいた後で、陰陽師が口を開く。

    「では、今の回答に基づいて、いくつか質問させてもらうが、まず、霊脈と血脈の違いについて、どのように理解しておる?」

    『霊脈の先祖霊とは、魂の種類1〜4に関わらず、本人と同じ種類の地縛霊化した先祖のことで、血脈の先祖霊とは、魂の種類が異なる地縛霊化した先祖のこととなります。従って、武士である僕の場合、霊脈の先祖霊は武士霊となり、血脈の先祖霊は武士霊を除く、1:僧侶霊、2:貴族霊、3:武将霊、4:諸々霊となります』

    そう答えると、青年は、かすかに逡巡した後、言葉を続ける。

    『他にも“霊統”、“血統”という言葉もあり、その意味するところは、地縛霊化している先祖のうち、本人にはかかっていないものの、魂の種類が同じ先祖を“霊統”先祖、魂の種類が異なる先祖を“血統”先祖と呼んで区別しています』

    「うむ」

    青年の回答に、いつもの笑みで頷いた後、陰陽師が言葉を続ける。

    「どうやら、基本的な事項についてはじゅうぶん理解しておるようじゃから、もう一度だけ、霊障について整理しておくとしよう」

    そう言い、陰陽師は紙に霊障の種類を書き記していく。

    《霊障の分類》
    ・先祖霊(魂の種類1〜4):霊脈、血脈、霊統、血統
    ・地縛霊(魂の種類1〜4):かかる子孫が途絶えた魂
    ・土地/法人の霊障(地縛霊)
    ・グッズの霊障
    ・念

    ※以下、神の眷属や動物霊など
    ・龍神
    ・龍霊
    ・稲荷
    ・狐霊
    ・熊手/狸霊
    ・雑霊/魑魅魍魎:動物霊/天狗・座敷童・麒麟(似非神様)

    陰陽師が書いた内容を見た青年は、一つ頷いてから、口を開く。

    『今回のテーマである、コロナの死因としては、個々人にかかっている霊障、つまり、霊脈と血脈の先祖霊の霊障が大きいようですね』

    「そのようじゃな」

    青年の指摘に、肯首しながら、陰陽師が質問を続ける。

    「さて、今度は、総合運について、説明してくれるかの?」

    『はい。総合運は基本的に9点が満点となり、その人に霊的な重荷がない(パフォーマンスが100%)かぎりにおいて、8点以上であれば、基本的に、今世で重大な苦労をする心配はありません。言い換えれば、7点以下の場合は、今世、それなりの苦労をする覚悟が必要な項目となります』

    「たとえば、恋愛運を例にとるとすれば、恋愛運が7以下である今世のそなたの場合、女性関係で苦労する覚悟が必要ということになるわけじゃな」

    『なるほど。だとした場合、ひとつお聞きしたいことがあるのですが』

    そう前置きした後で、青年が言葉を続ける。

    『仮に総合運が9点だったとした場合、今世の宿題という意味合いから、7点以下となっていると考えて、問題ないのでしょうか』

    「基本的には、そう考えても差し支えないじゃろう」

    『しかし、基本的には、とは?』

    「いつも話しているように、霊的な問題というものは、三次元世界のように、右か左とか、正誤といった“二元論”では、割り切れない余地が常に存在している。そのような意味で、三次元世界において“法則には、往々にして例外が存在する”という言葉があるのと同様、霊的世界でも、霊障を含め、その魂のそもそもの誕生理由などにより、総合運が低いからといって、かならずしもその項目が今世の宿題と連動しているとはかぎらないという現象が起きることから、おおむね、そのような理解で問題あるまい、と答えたわけじゃ」

    『なるほど。特に、霊的世界には、三次元の常識、つまり、思議では割り切れない余地が常に存在している、ということをよく頭に叩き込んでおきます』

    陰陽師の説明にそう答えた後で、青年は言葉を続ける。

    『いずれにしましても、僕の恋愛運が6点であることを踏まえ、女性とのトラブルを通して学びを得る、それが今世の僕の人生だということは、じゅうぶんに肝に銘じております』

    それなりに己の運命を受け入れたのか、軽く苦笑しながら青年は言った。
    そんな青年の様子を察した陰陽師も、一緒に笑ってから口を開く。

    「では、本題に入るとして、コロナに感染した人物たちを鑑定するにあたり、該当者たちの目星は、既についておるのかの?」

    青年は一つ頷いて見せ、スマートフォンを操作した後、口を開く。

    『まずは亡くなった人物からお願いします。一人目、志村けんは享年70歳で、若い頃からヘビースモーカーだった影響か、肺に基礎疾患があったようです』

    陰陽師は指を小刻みに動かした後、鑑定結果を紙に書き記していく。

    志村けんSS

    属性表を見終えた青年は、視線を落とし、ため息を吐いてから口を開く。

    『彼は、健康運が3とかなり低く、しかも天命運と血脈に“4:病気”の相が、そして、血脈の霊障に“5:事故・被害・死亡”の相がありますから、属性表の各数字から考えてみても、コロナに感染して亡くなったことに納得せざるを得ません』

    「その通りじゃな」

    『そして、二人目の男性ですが、彼は享年50代で、肝臓がんを患っており、感染後に肺炎で亡くなりました』

    陰陽師は黙って指を小刻みに動かした後、紙に鑑定結果を書き記していく。

    伴充雅SS

    青年は暗い表情のまま、何度も頷いてから、口を開く。

    『この男性も、健康運が3とかなり低く、血脈の霊障に“4:病気”の相“5:事故・被害・死亡”の相があるので、亡くなった理由については、納得ですね』

    「かわいそうではあるが、そなたの言う通りじゃな」

    青年はしばらく無言で腕を組み、やがて苦々しく言った。

    『ただ、彼はコロナに感染していると知りながら飲食店に行き、しかも、意図的に、店員が感染するような行動を取るなどし、ウイルスをばら撒きました。その結果、そのお店は営業停止になってしまったようです。彼が頭2の魂2−4であることと、大局的見地の数字が30であることを踏まえると、このような行為も、納得ではあるのですが』

    「彼の場合、下段の枝番も、欄外の枝番もほとんどが“9”であり、“性悪説”的な気質が強いことから、今回のようなウイルスを撒き散らして他人に被害を与えるような行動を、平気でとってしまう可能性が高い人物のようじゃの」

    『なるほど。彼によって感染させられてしまったお店と店員には大いに同情しますが、“罪を憎んで人を憎まず”という言葉があるように、屍に鞭打つのではなく、彼の行動によって、コロナの感染度の高さと脅威が世間に知れ渡ったのだと、前向きに捉えようと思います』

    青年の言葉に陰陽師は一つ頷き、口を開く。

    「して、次の人物は、どのような人物なのかな?」

    『三人目、羽田雄一郎議員は、享年53歳で、基礎疾患に糖尿病や高血圧などがあったようです』

    陰陽師は紙に鑑定結果を書き記し、青年はその様子を黙って見守る。

    羽田雄一郎さんSS

    属性表を見た青年は、眉間に皺を寄せながら口を開く。

    『羽田さんは、天命運と血脈に“5:事故・被害・死亡”の相があったものの、“4:病気”の相はありませんでしたし、健康運が7であることから、先ほどの二人の健康運“3”に比べたら数値はましだと思うのですが、やはり、総合運の各項目の数字が“7”以下の場合には、注意が必要ということなのでしょうか?』

    「以前も説明したが、令和に入ってから、魂の属性7の唯物論者の場合、霊脈先祖(魂の種類が同じ先祖)の霊障がない分、魂の属性3の霊媒体質の人物よりも、血脈の霊障がより強く顕在化する傾向が強くなっておるようじゃな」

    『なるほど。そのあたりも体主霊従の世界から、霊主体従の世界への回帰の一端なわけですね』

    陰陽師の話に大きく頷いた後で、青年は先を続ける。

    「次は、四人目の岡江久美子ですが、彼女は享年63歳で、基礎疾患はなかったものの、2019年末に乳がんの手術を受け、その後半月ほど放射線治療を受けていたため、免疫力が低下していたと思われます』

    岡江久美子さんSS

    先ほどの三名の結果と見比べながら、青年はしばらく黙考した後で、口を開いた。

    『岡江さんは、健康運は8と高かったものの、天命運と血脈に“4:病気の相”血脈に“5:事故・被害・死亡”がありますね。それに、彼女も“唯物論者”的な気質の持ち主だったことから、たとえ、健康運の数値が高くても、血脈の霊障の影響を大きく受けていたという理解で問題ないですね』

    「基本的にはその通りなのじゃが」

    青年の言葉に一つ頷いた後で、そう前置きしてから、陰陽師が言葉を続ける。

    「彼女の場合、二人目の男性同様、第4チャクラが乱れていることが、死因の大きな要因となったようなのじゃ」

    『第4チャクラが、死亡の一因ですと?』

    「一般的には、ハートチャクラなどと呼ばれておるようじゃが、第4チャクラが乱れている場合、往々にして、病気にかかりやすいという特徴があるとともに、最悪の場合、死に至る病を患う可能性が高くなったりするわけじゃな」

    青年は陰陽師の説明に息を呑み、しばらくしてから口を開いた。

    『と言うことは、岡江さんの場合、“4:病気”の相によって乳がんを患い、免疫力が低下していたところに、第4チャクラ“5:事故・被害者・死亡”の相が重なることによって、コロナに感染してしまい、その挙句に亡くなったという、合わせ技なわけなのですね…』

    「残念ながら、その可能性が高いようじゃな」

    『…そうでしたか、何とも、痛ましいかぎりです』

    小さく首を振りながらそう答えた後、青年は気を取り直して、次の人物を紹介する。

    『次は、コロナに感染した後に回復した人物なのですが、一人目の石田純一は、66歳で脳と肺に基礎疾患があったものの、コロナが流行り出した頃に感染し、一時は危ぶまれたようですが、生還しています』

    青年の言葉を聞いた後、陰陽師は鑑定結果を紙に書き記していく。

    画像5

    それを見た青年は、驚きに目を見開いてから、声を上ずらせて言う。

    健康運が3とかなり低い上に、基礎疾患があり、さらに血脈の霊障に“5:事故・被害”の相があるので、これまでの方々の結果を鑑みるかぎり、亡くなっていてもおかしくないと思いますが、霊障の“5”の相が、“死亡”ではなく“怪我”だったことから生還できたというわけなのでしょうか?』

    「ワシが知るかぎり、彼は還暦を過ぎてからも運動するなど、健康的な生活習慣を続けていたようじゃから、もともとの健康運の低さを、運動でカバーしていたことも、助かった要因の一つかもしれぬが、おぬしの言うように、決定的に明暗を分けたのは、“5”の相が“死亡”ではなく、“怪我”だったことなのじゃろうな」

    『なるほど』

    説明を聞いて大きく頷く青年に、陰陽師が先を促す。

    「して、次はどんな人物かの?」

    『二人目の一般人男性は、53歳で、基礎疾患はなく、感染した後に集中治療室に入るほどに重症化しましたが、現在は、容態が安定しているようです』

    青年が無言で見守る中、陰陽師は鑑定結果を書き足していく。

    遠藤雅行さんSS

    属性表を眺めた青年は、何度も頷いてから、口を開いた。

    『この男性は、天命運と血脈に“5:事故・被害・死亡”がありますが、健康運が9で基礎疾患がなかったことが助かった要因なのでしょうか?』

    「この男性の場合、“5:事故・被害・死亡”の相が、今回のコロナには該当しなかったと考えられるのも一つの考え方じゃろうし、健康運が“9”じゃったことも、命を取り留めた要因のひとつなのじゃろうな」

    陰陽師の言葉をしばらく吟味してから、青年は口を開く。

    『つまり、“5:事故・被害・死亡”の相があるからと言って、事故が起きたら必ず死ぬとは限らないわけなのですね』

    「さよう。そのあたりが、不可思議な世界の不可思議たる由縁で、いつも話しているように、この世の神羅万象のすべてを、思議で推し量ることは不可能とワシが話す典型的な例なのかもしれんな」

    『とおっしゃいますと?』

    「ワシのクライアントの中にも、“5:事故/事件”の相があり、何度も事故に遭っているものの、今もぴんぴんしておる人物はおるのじゃが、このような人物も含め、まだ今世の宿題が残っていたために、たとえ霊障に“死亡”の相があったとしても、必ずしも死ぬわけではないということが、往々にして起こり得るわけじゃな」

    『なるほど』

    そんな陰陽師の説明に一つ頷いた後で、青年が言葉を続ける。

    『ただし、そうはおっしゃっても、“5:事故/事件”の相を解消しない限りは、今後もまた事故に遭う可能性は高く、“死亡”の相がある場合は、その人はいつの日か、事故/事件で命を落とす可能性が残っているわけですね』

    「まあ、基本的にはその通りなのじゃが、先ほども話した通り、そのように、右左、正誤などと決めつけられないのが、“不可思議”の世界の“不可思議”たる由縁なわけではあるのじゃが」

    そう言い、暗い表情をする青年を励ますように、陰陽師は微笑みかける。

    「いずれにしても、この6名の鑑定結果を見てわかるように、人間は多面体であることから、特定の部分のみを抽出して、結論に結びつけぬよう、気をつけることが肝心となるわけじゃ」

    『はい。今のお言葉、よく肝に命じておきます』

    そう言い、青年はしばらく口をつぐんでから、再び言った。

    『ところで、ふと気になったのですが、コロナに感染した人物の共通点として、“5:事故・被害”の相があったと思います。なぜ“4:病気”の相ではなく、“5”の相なのでしょうか?』

    「というと?」

    『トランプ大統領は、コロナは“武漢のウイルス研究所由来の証拠がある”と訴えていたようですし、このウイルスは自然界のウイルスではなく人工ウイルス、つまり、細菌兵器による人災の被害者だから、“5:事故・被害”の相が出ているという可能性は、ないのでしょうか?』

    「そのあたりの問題については、世界の権威ある科学者がコロナを人工だと公表していない以上、現時点では何とも言えないじゃろうな。特に、今回挙げた人物に全員“5:事故・被害”の相があることを根拠として、コロナが細菌兵器だと考えるのは、早計だとワシは思う」

    『それは、失礼いたしました』

    そう言い、罰が悪そうな表情をする青年に対し、陰陽師は微笑みながら一つ頷き、説明を続ける。

    「いやいや、そう恐縮することはない。ワシがそう思う根拠としていくつかの理由があるのじゃが、そのひとつとして、以前、中世に幾度となく流行した黒死病、つまりペストについて色々とみてみた時の経験がある。何を言いたいのかと言うと、当然ペストは疫病なわけじゃから、ワシがみた犠牲者の多くが“4:病気”の相を持っていてよさそうなものなのじゃが、実際は、犠牲者のほとんどが“4:病気”の相ではなく、“5”の相を持っていた」

    陰陽師の説明を聞き、真剣な表情で何度も頷く青年。
    陰陽師は、青年が話についてきていることを確認し、説明を続ける。

    「よってこの一例だけ見ても、そのあたりの推測は正しいと、ワシなりには思っておる。さらに言えば、令和との関係じゃ。以前から何度も話しているように、令和の世界的な“変革”のひとつに“疫病”があることもそうなのじゃが、カミゴトとしてみても、今回の一件は人為的なものではない」

    『そうだったのですか』

    目を大きく見開き、そう答える青年を見ながら、陰陽師が言葉を続ける。

    「まあ、このあたりのことはカミゴトゆえ、声を大にして主張するつもりはないのじゃが、去年の冒頭より、今回のウイルスは相当厄介じゃ、と繰り返し述べてきたのも、根拠は、そういうところにあるわけじゃな」

    『なるほど』

    そんな陰陽師の言葉に小さく頷くと、青年はしばらく逡巡した後、言葉を続ける。

    『ちなみに、今回挙げた中で亡くなった方々は、無事にあの世に帰還できているのでしょうか?』

    「どれ、確認しよう。少し待ちなさい」

    そう言い、陰陽師は指を小刻みに動かした後、続ける。

    「うむ。幸い、全員、無事にあの世に戻っておるようじゃ

    微笑みながらそう言う陰陽師の言葉を聞き、青年は安堵の息をもらす。

    『それならよかったです。志村けんさんは、既に様々な業績を残されているだけではなく、コロナ禍で売り上げが落ちた友人の飲食店にわざわざ通って支援するような優しい方でしたから、あの時期にコロナで命を落としても、悔いがなかったのでしょうね』

    「それにじゃ。彼を始めとする大物有名人が亡くなったことで、コロナの危険性が世間の人々により深く伝わったことは、まぎれもない事実なわけじゃから、非常に痛ましいことではあったが、コロナによる被害者を減らすことに一役を買ったことも、ひょっとすると、彼らの宿題の一部であったのかもしれんな」

    『なるほど。彼らの死を無駄にしないためにも、残された僕らは、いっそう魂磨きの修行に励まねばならないということですね』

    「そうじゃな。どのタイミングで肉体を離れることになろうとも、幸/不幸や、生きた時間の長短といった、この世の基準や現世利益に囚われず、今世の課題を果たせるように日々を過ごすことこそが、今世の宿題を果たす唯一の道であることだけは、絶対に、忘れぬようにの」

    そう言い、陰陽師は壁時計に視線を向ける。
    それに気づいた青年も、スマートフォンで時間を確認する。

    『もうこんな時間でしたか。今日も遅くまでありがとうございます』

    そう言い、青年は席を立って深々と頭を下げた。

    「気をつけて帰るのじゃぞ」

    陰陽師はいつもの笑みで手を振り、青年を見送った。

    帰路の途中、青年はコロナで亡くなった人物たちのことを考えていた。
    彼らの死に霊障も関わっているなら、ご神事を受けてもらうことで、コロナによる死者を減少させられるかもしれない。
    また、令和の“変革”によって、見えない世界とは縁遠い、魂7の唯物論者の人物といえども血脈の霊障の影響を受けているという事実を理屈として理解し、体感してもらえるよう、より真摯に説明していこう。
    青年はそう決意するのだった。