新千夜一夜物語第9話:魂の属性とこの世の善悪
青年は苦悩していた。
陰陽師から渡された鑑定結果の解読を試みるものの、基本的には数字で記載されているため独力での解読は不可能に近い。
過去に解説を受けた部分を復習した後、青年は解読を諦めて陰陽師の元を訪ねるのだった。
『先生、またわからないことがあってお邪魔しました』
「ずいぶんと熱心に訪問するようになったの。つい先週は何もかもがどうでもよくなっていたはずなのに」
体を揺らして笑う陰陽師に対し、青年は苦笑して応えた。
『魂について僕が聞いていない部分がありましたら、教えていただきたいです』
「そう言うことであれば、今回は鑑定結果の補足をしつつ説明していくとしよう」
陰陽師は青年の鑑定結果の紙を取り出す。
「まずは、頭の1と2じゃが、1は農耕民族型で2は狩猟民族型の子孫だと理解するとわかりやすいと思う」
『はあ、1は農耕民族型で2は狩猟民族型の子孫でしょうか?』
「その通りじゃ。まず、1の農耕民族だが、農耕民族の長所を演繹すると、自分のことより他人のことを優先する、協調性がある、世のため人のためなんて考えている、となる」
『なるほど』
「それに引き換え、2は狩猟民族の末裔ということから、物事を損得で考える傾向が強いので、結果、自己中心的な傾向が強いということになる」
『それで、僕は1なのですね』
「そうじゃ。時間の概念を理解し、長いスパンで受け継がれる本質を好む。気功や瞑想といった、道具を使わずに自浄作用の効果がある術とも相性がいい」
『それでは、2の人は?』
「全般的に、まず体が丈夫じゃ。そして、見た目が派手でわかりやすい事を好む。短期集中や道具との相性がいい。日本人の比率は、(頭の1):(頭の2)=3:7と、頭が2の人の方が多い。地球全体の1と2の比率が2:8じゃから、日本人は優等生と言うことができるじゃろうな」
『では、次の2(3)は?』
「ここが輪廻転生の回数となる。これは万人例外なく400回と決まっておる。で、そなたの場合は230回台じゃ」
『それでも、半分以上終わっているのですね。といっても、まったく実感がわきませんが』
頭をかき、苦笑する青年。陰陽師は微笑んで応える。
「ここで大事なことは、人生にも年齢によって波があるように、魂にも波のようなものがある。あの世の仕組みがこの世の仕組みに反映されているわけじゃからな」
『400回の転生回数を、魂の年齢と捉えればわかりやすい気がします』
鑑定結果の数字を眺めながら、青年は口を開く。
『ちなみにですが、転生回数と天職には相関関係みたいなものは存在するのでしょうか?』
「天職診断は依頼者の魂をベースに鑑定を行うが、転生回数とも一定の程度の因関係がもちろん存在する」
『やはり、そうなのですね』
「それを理解するには他の部分の鑑定結果の意味を知っておくと話が早い。次は魂の種類の項目を説明しよう」
陰陽師は次の数字を指しながら言った。
「魂の種類1〜4というのは、以前話したように4つの階級を表しておるのじゃが、そなたの場合は3(1)じゃからビジネスマン階級となる。そして、下の四角の上段の数字が2じゃから、武士というわけじゃな」
『もし下の四角の上段の数字が3の人の場合は武将となるのですね』
「その通りじゃ」
『それでは、下段の数字はどのような意味を持っているのでしょうか?』
「そこは“程度”の様なものを表しており、そなたはどちらも(1)じゃから、ビジネスマン階級としても武士としても最も位が高いということになる。位は1・3・5・7・9と五段階あるのじゃが、その意味するところは上下関係ではなく、担う役割が大きい、くらいに認識しておくとよい」
『数字が低い方が、あえてわかりやすい言い方をすると位が高いのですね。誤解しないように気をつけます』
陰陽師は首肯して応える。
『次の“+2”ですが、これは何でしょうか?』
「それは、”目に見えないことをどのくらい信じるか”を表しておる。+1~9という段階があり、こちらも1が最も信じやすいことを意味している」
『僕は、2番目に目に見えないことを信じやすいグループに属しているわけですね』
「そう言うことじゃな。逆に、霊障がない人や唯物論者/超現実主義は“+9”に近い」
青年は何度もうなずいて納得の意を示す。
「霊障がない人や唯物論者/超現実主義というのも、実は鑑定結果で表れておるんじゃ」
『そうなのですね。育った環境や人生経験によるものだと思っていました』
そう言い、青年は鑑定結果を食い入るように見つめる。
「ここでいう、魂の属性の一番上の段の数字が該当する。ここは5%ほどの例外があるものの、基本的には3か7しかない。以前にも少し触れたが、先祖霊の霊障がある、すなわち霊媒体質の人物は3となる。一方、先祖霊の霊障がなく、霊媒体質でもないために精神世界や気といった現代科学での証明が難しい存在を感じとることができない人物は7、簡潔にいうと唯物論者というわけじゃな」
『そういうことがあるのですね! そもそも感じることができないなら、いくら論理的な説明をしても、目の前で通常では考えられない出来事が起きても信じられないのもわかる気がします』
「もちろん精神世界や宗教に興味があるというのはまた別な問題になってくるのじゃが、少なくとも“感じる”という意味ではその通りじゃ。また、その比率は魂の属性3の人間の方が圧倒的に少なく、だいたい三七くらいの割合と理解して差し支えないじゃろう」
『意外でした。そんなに差があるのですね。ちなみに、霊障がある人とない人とで、肉体的な違いはあるのでしょうか?』
「主な違いは経絡とミトコンドリアと言われておる。7の人は3の人の経絡の半分しかなく、ミトコンドリアの機能も違う。その結果として、3の人は東洋医学と相性が良く、7の人は西洋医学と相性が良い。同じ病で同じ治療を受けても生還する人と助からない人がいるのは、3と7の違いである可能性が高い。7の人は先祖霊の霊障がない、すなわち見えない世界に対する感度がほとんどないため、気功といったエネルギーを体感することができず、その結果、効果が薄い。その代わり、18世紀の産業革命以来の物質文明の延長線上にある西洋医学の薬が効きやすいという特徴をもっておる」
『ということは逆説的な言い方をすると、薬の副作用が大きく出る人は魂の属性が3の人ということでしょうか?』
「そういう傾向は間違いなくあるじゃろうな。それ故、魂の属性を把握しておくことで、体調を崩した時に望ましい治療を選びやすくなるということになるわけじゃ」
『僕は東洋医学、漢方や鍼灸や気功と相性がいいのですね。気功をやっていてよかったです』
深くうなずく青年を見、陰陽師は微笑む。
「次は、真ん中の段と一番下の段の意味じゃが、ここは次の“魂の性質”と前回触れた“魂の善悪”(執着)を交えて説明しよう。覚えておるかな?」
突然の質問に、青年は慌てふためいた。
(続く)
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